発酵性食物繊維普及プロジェクト 企業レポート

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発酵性食物繊維普及プロジェクトへ
参画した背景

でん粉の可能性を、健康価値へ

松谷化学工業は1919年の創業以来、でん粉加工のパイオニアとして人々の暮らしを支える素材開発に取り組んできました。創業当初は紙や繊維などの工業用途を中心に事業を展開していましたが、時代の変化とともに、即席めんや冷凍食品をはじめとする食品分野へと事業領域を広げてきました。

近年は、健康志向やサステナビリティへの関心の高まりを背景に、でん粉の新たな可能性を追求しています。その代表的な素材が、発酵性食物繊維のひとつ「難消化性デキストリン」です。

「難消化性デキストリン」は当社が世界に先駆け開発し、独自に命名した呼称です。

天然のでん粉からつくられる食物繊維で、飲料や食品に配合しやすく、味や風味への影響が少ないことが特長です。また、整腸作用をはじめ、食後血糖値や中性脂肪の上昇抑制、内臓脂肪の低減、ミネラル吸収促進など、さまざまな生理機能が確認されており、多くの特定保健用食品や機能性表示食品に活用されています。

『安定した基盤の上で、新しい技術や価値を生み出す』。これは創業以来、松谷化学工業が大切にしてきた考え方です。でん粉一筋に歩んできた知見を活かしながら、人々の健康課題の解決に貢献する新たな価値を創出していく、その取り組みをさらに広げるため、発酵性食物繊維普及プロジェクトへ参画しました。


商品・研究開発の道のり

研究から社会実装へつながる
機能性素材の力

難消化性デキストリンの研究開発を本格化したのは、「でん粉から新たな価値を創造できないか」という挑戦からです。

食物繊維はかつて「消化されずに排出されるもの」と考えられていました。しかし研究が進むにつれ、腸内細菌との関わりや全身の健康への影響が明らかになり、重要な栄養素として再評価されるようになりました。当社ではこうした流れに先駆け、でん粉由来の食物繊維素材の開発に取り組み、難消化性デキストリンを実用化してきました。

この素材が幅広い食品に活用されている理由の一つが、その優れた加工適性にあります。透明性が高く、低粘性で味への影響も少ないため、飲料、乳製品、菓子、調味料など幅広い食品に配合することができ、さらに酸や加熱、冷凍解凍などにも安定していることから、多様な食品開発に活用されています。

また、長年にわたりヒト試験や基礎研究を積み重ねてきました。整腸作用に関する研究では排便回数や排便量の増加が確認されているほか、食後血糖値や中性脂肪の上昇抑制、内臓脂肪低減などについても科学的なエビデンスを蓄積しています。近年、注目されている腸内環境に関してもビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果や、腸内細菌が産生する良い代謝産物を増やす効果がヒト試験で確認されており、腸内環境を改善する素材として腸活に利用されています。

こうした研究成果をもとに、難消化性デキストリンは多くの特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品に採用される素材へと成長しました。その代表例の一つが、特定保健用食品「パインファイバーW」です。

難消化性デキストリンを顆粒状にした製品で、「食後血糖値の上昇をおだやかにする効果」と「食後中性脂肪の上昇をおだやかにする効果」の“Wの効果”が認められた特定保健用食品です。血糖値が気になる方や、脂肪の多い食事を摂りがちな方に適した製品として、消費者庁の許可を受けています。

当社は原料供給にとどまらず、自社製品の開発や商品設計、機能性表示食品の届出支援まで含めて食品メーカーをサポートしており、食物繊維を活用した商品開発の裾野を広げています。研究成果を社会に実装し、生活者へ届けることも、同社の重要な役割の一つとなっています。


今後の展望

発酵性食物繊維を、
毎日の当たり前へ

当社では健康価値の創出とともに、でん粉の新たな可能性の追求にも取り組んでいます。近年は環境配慮の観点から、でん粉を活用した植物由来素材への期待も高まっており、食品分野のみならず工業分野においても研究開発を進めています。でん粉が持つ可能性をより幅広い領域で活かしながら、人々の健康と地球環境、その両方に貢献できる素材として、でん粉の価値をさらに広げていきます。

こうした中、腸内環境への関心は世界的に高まりを見せています。近年は単なる栄養補給にとどまらず、日々の食事を通じて健康を維持し、将来の疾病予防やウェルビーイング向上につなげるという考え方が広がっています。

当社では研究成果を社会へ還元する取り組みの一環として、本社を構える伊丹市において、市の健康政策課と連携した無料の「食と健康セミナー」を毎年開催しています。セミナーでは、ヘモグロビンや内臓脂肪の測定を実施し、その結果をもとに健康状態への理解を深めていただくとともに、食物繊維の重要性や日常生活への取り入れ方について紹介するなど、生活習慣病予防につながる知識の普及にも取り組んでいます。研究成果を論文や製品にとどめるのではなく生活者の健康行動につなげることも、重要な役割だと考えます。

こうした研究成果を商品やサービス、そして地域に根差した活動を通じて生活者へ届けることで、発酵性食物繊維が特別なものではなく、誰もが自然に取り入れられる“毎日の当たり前”となる社会を目指して、健康価値の創出と環境価値の創出の両面から、でん粉の可能性をさらに広げてまいります。

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