発酵性食物繊維普及プロジェクト SPECIALインタビュー
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腸内環境に注目が集まる昨今。日々の健康を保つためには、腸内環境にどのようにアプローチしていけばよいのでしょうか?今回は腸活のエキスパートとして知られる医師の工藤あき先生に、腸内環境からのインナーケアを実現していくための方法をお聞きしました。
わかってきた腸と身体の密な関係
―昨今、さまざまな側面から腸内環境や食物繊維に関心が集まるようになりました。工藤先生が腸内環境に注目したきっかけは?
コロナ禍で免疫力への関心が高まったことは大きなきっかけでした。私たち医師だけではなく、世の中の皆さんが免疫力を上げて健康に過ごす方法を模索していましたし、腸内環境と難病の関係など従来わからなかった関係性が明らかになってきた時期でもありました。また、腸内環境が健康面だけでなくダイエットや美容、メンタルなどさまざまな領域と関係していることもあります。皆さん、病名まではつかないまでも抱えていた不調や悩みはおありになるので、そういったことも腸内環境から解決できる部分があるのではと。
また、消化器内科という立場から見ても腸は特別な存在です。救急搬送された方でも状態が安定したら、腸を良い状態に保つ栄養素を鼻などから入れていきます。つまり腸の健康を保つということは、生命活動の上でとても大切なのです。腸には個体差もありますし、患者さんの状態やライフスタイルに合わせた食事が必要です。現在、クリニックでも患者さん一人一人に合わせた栄養指導も行っています。
―そんな中、腸活などの「インナーケア」には、どのようなメリットがあるでしょうか?今や、美容やダイエットの視点からも「インナーケア」は注目されています。
もちろん内科医ですし、美は内側から!だと思います(笑)。すでに食事に気を使ったり、サプリメントを取り入れてる方が多いと思いますが、栄養は摂れてもそれを吸収するのは「腸」。腸が健康で胃から運ばれてきた栄養素を吸収できなければ意味がありません。まずは腸の前にある胃で、しっかりと消化できないと腸での吸収に影響していまします。
そういったことを加味して、個人的には食事から摂る形の「インナーケア」をおすすめしています。腸内細菌の多様性を広げるためにさまざまな食材を摂るのが理想で、インナーケアの視点でもやはり和食は有能です。品数もとれるし、腸内細菌に良い醗酵食品も摂れますから。たとえば納豆は発酵食品であるだけでなく、発酵によってタンパク質がやや分解されているので吸収の効率がいいですね。お味噌汁も具沢山にすればそれだけで品数を賄えます。
インナーケアで注目をされる「発酵性食物繊維」
―インナーケアを行うことで身体に変化は現れますか?また、どのような形で行うのがよいでしょうか?
便通に問題がある人は、改善することが多いと思います。私の場合、ごくたまに腸内細菌の検査を自分で行うんですが、やはり食物繊維を意識した食事を続けたときは細菌の多様性がひろがっていることが多いですね。身体は食べたものでできていく。少しずつでもはじめれば身体は応えてくれると思います。
また腸内細菌は、ペットを飼うように育てるという表現もありますが、インナーケアではぜひ発酵性食物繊維をとっていただきたい。継続的に摂ることで効果があり、1食だけで体調に変化があるわけではないですが、玄米やもち麦、根菜類や海藻類、さつまいもや里芋など発酵性食物繊維を含む食材はいろいろあるので、少しずつでも毎日の献立に取り入れられれば。
食材の内容を考えると和食にするのが一番やりやすいと思いますが、飽きてしまう場合はお味噌汁に豆乳や牛乳を入れて少し洋風のテイストを入れるとか、週末だけ全粒粉のパン食にするといった方法も良いと思います。和食だけ!と限定してしまうと食のハードルが上がってしまうかもしれないので、工夫ができると良いですね。
また、買いやすいコンビニやデリの惣菜もあります。ふだんの食事に組み合わせることで、献立の助けになるはず。
さらに、食物繊維を摂ることで次の食事の血糖値上昇を抑制するセカンドミール効果を生むことがありますし、コンビニのおにぎりなどの冷飯は、消化されずに大腸まで届いて食物繊維に似たような働きを行います。少し知識があるだけでも、健康のための「食の工夫」ができると思います。
―継続的なインナーケアで、健康的な美を目指せる気がします。インナーケアをする上での注意があれば教えてください。
いくら「発酵性食物繊維が良い」と言っても、個人差がありすべての人に高い効果を生むわけではありません。ですので、より自分の身体に意識を向けていただきたいですね。たとえば私の場合、大豆には注意しています。もちろんお味噌もお豆腐も好きなんですが、タンパク質は一気に摂るとお腹が張るなと…。お腹が張る、あとは下痢をするといった症状があれば、食材、あるいは食べ方などが合わないのかもしれません。自分の身体に合わせ、少しずつ食べるなど工夫をすることで、問題なく摂れることが多いので、よく自分の身体を観察していくことが大切だと思います。
また、食べてからすぐに症状が出る方ばかりではないと思うので、そのあたりの見極めは難しいのですが、インナーケアに挑戦する場合は1種類ずつ取り入れて様子をみていくという方法もおすすめですよ。
自分の身体のために、内側から変えていく。インナーケアは時間をかけて自分の身体を知る手段だと思います。ぜひインナーケアのために「発酵性食物繊維」を取り入れて、健康と美を実現していきましょう。
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