
腸活の新常識
「発酵性食物繊維」とは
美容にも、生活習慣病発症リスク低減にも!
全身に及ぶ「発酵性食物繊維」のチカラ
腸活に必須の食物繊維。その中でもこれからスタンダードになるのが腸内細菌のエサになって発酵する「発酵性食物繊維」です。
発酵性食物繊維を摂ることによるメリットは、有用菌の増殖をサポートして便通を良くするだけではなく、脂肪の蓄積や血糖値の上昇を抑えたり、免疫の強化、食欲の抑制、脳機能の低下を防ぐ可能性、また妊婦に対しては胎児が生まれた後の成長にも影響するなど、腸を通じてさまざまな健康効果があることが続々と報告されています。

発酵性食物繊維の摂取でもたらされる
カラダへの影響
- 腸管のバリア機能
- 過剰な免疫反応を抑える
- 肌のうるおいや弾力
- 有用菌が棲みやすい環境を作る
- 有害菌が繁殖しづらい腸内環境を作る
- 血糖値上昇を抑制
- 脂質代謝改善
- 脂肪のため込みを防ぐ
- 食欲抑制 基礎代謝UP
- 交感神経活動を高めエネルギー消費を促進
チカラの理由は、「短鎖脂肪酸」
~腸内細菌+発酵性食物繊維が作り出す代謝物
上記のようなさまざまな働きは、腸内代謝物の「短鎖脂肪酸」を介してもたらされます。腸内代謝物は、腸内細菌が発酵性食物繊維をエサに発酵(代謝)させて作り出す物質です。短鎖脂肪酸は大腸に直接作用するほか、血流にのって全身に運ばれて、体に良い効果を発揮することがわかっています。
今や専門家の間で腸活といえば、代謝物を作り出すことに重点が置かれるようになってきました。つまり、これからの腸活とは、腸内細菌のエサになる「発酵性食物繊維」を積極的に摂取することなのです。菌の種類ごとにエサにする発酵性食物繊維の種類が異なるので、「腸内細菌の多様性」と、そのための「多くの種類の発酵性食物繊維の摂取」が大切です。

現代の日本人は、食物繊維が足りていない

WHOでも日本人の食事摂取基準でも、理想は1日25g以上
食物繊維は、摂取量が多いほど心筋梗塞や乳がん、胃がんなどの疾患の発病率や死亡率が低くなる傾向が認められている栄養です。1日に25~29gの摂取で、さまざまな生活習慣病リスクの低下に寄与するという数多くの報告があることから、世界保健機関(WHO)は、成人に対して“少なくとも25g/日の食物繊維摂取”を推奨しています。日本でも今年4月の「日本人の食事摂取基準」で、“健康への利益を考えた場合、『少なくとも1日当たり25g』は食物繊維を摂取することが望ましい”としています。しかし、実際には先進国の食物繊維摂取量は低く、平均が25gに達している国は見当たりません。中でも特に日本人は摂取量が少なくなっています。
20代日本人女性の食物繊維総摂取量は1日14.6g
~目標よりマイナス10.4g!
戦後間もない1950年頃、日本人の食物繊維摂取量は1日20gを超えていましたが、食べるものが豊富な世の中と反比例するように、摂取量は減少しています。特に20代女性の食物繊維摂取不足は深刻ですが、その理由と思われるのが穀物摂取の不足です。ダイエットのために、ご飯やパンなどの小麦製品を避ける風潮がありますが、穀物には食物繊維が豊富に含まれているのでできるだけ摂りたいものです。

COLUMN
食物繊維の測定方法
従来のプロスキー法から「AOAC2011.25法」へ
文部科学省が「日本食品標準成分表」で公表する食品中の食物繊維の測定方法が、従来のプロスキー法に加えて、「AOAC2011.25法」による値も順次併記※されつつあります。AOAC2011.25法では従来の方法では測れない食物繊維も測定できるので、ご飯や小麦製品といった穀類に発酵性食物繊維が従来より多く含まれることが明らかになりました。グラフ「諸外国の食物繊維摂取量(g/日)男女総数」での日本人の平均摂取量より、グラフ「日本人の食物繊維摂取量(g/日)(20~60代)」での摂取量が多く見えるのはそのためです。
※ 「2015年版(七訂)追補2018年」より